2021年税制改正のポイント

2020.12.25

税務トピックス

その他

新型コロナウイルスに社会全体が大きな影響を受けた1年でした、もうまもなくそんな2020年も終わりを迎えようとしています。
様々な場面において、来年の話が出てくるこの時期、12月10日には与党による来年度の税制改正大綱が決定、発表されています。
今回は、この2021年税制改正大綱のポイントを確認したいと思います。

1.新型コロナ負担軽減の措置

(1)住宅ローン減税

消費税が10%へ引き上げられたことに伴い、住宅ローン控除期間が通常であれば10年であったものが、13年とする特例措置が取られていました。この特例措置は本来2020年末(令和2年末)までの適用予定でしたが、今回のコロナ負担による措置として、2022年(令和4年)末までに入居時期の条件が延長されることが決まりました。

ただし、契約時期については以下の期間までという制約がありますので注意が必要です。
・注文住宅(新築)の場合:2021年9月まで
・分譲住宅の場合:2021年11月まで

また、住宅ローン減税の対象となる物件が、現在の50㎡以上から40㎡以上に緩和されることとなりました。ただし、引き下げによって新たに対象となった40㎡以上50㎡未満の物件については所得制限が1,000万円以下と厳しくなっています。

(2)エコカー減税&環境性能割

燃費の良い自動車について、車検の際にかかってくる自動車重量税を減免する措置である、エコカー減税措置について、2021年4月末までであった適用期限が2年間延長されることとなりました。

一方で、従来一律で免税となっていたクリーンディーゼル車については、ハイブリッド車などと比較すると、燃費性能が劣るとして免税対象から外されることとなりました。
このクリーンディーゼル車の免税対象外への改正による、自動車メーカーへの経営への打撃を勘案し、特例措置が導入されることとなります。現行の燃費基準を達成しているクリーンディーゼル車種は、今後2年間に限り免税が継続、達成していない車種についても、1年間のみ免税が継続、改めて行う測定試験の結果、基準が達成できていれば、更にもう1年免税となります。

また、購入時にかかる税金「環境性能割」(2019年9月までは自動車取得税として課税されていましたが廃止され、こちらも燃費性能によって軽減がなされる環境性能割という名称の税金が課せられることとなりました。)についても、2021年の12月末までに延長されることとなりました。
(当初は2020年9月30日まででしたが、2020年4月7日の「新型コロナウイルス感染症経済対策」の閣議決定により、2021月3月末に一度延長がされていました。)

(3)固定資産税

固定資産税の評価額について、通常、評価額は3年毎に見直されます、つまり2021年度・2022年度・2023年度の3年間は、コロナ渦以前、時価が上昇傾向であった「2020年1月の地価公示」によって計算され、課税される予定でしたが、2021年度については、負担軽減の措置が取られることとなりました。

対象は制限なく全ての土地です。
2020年1月の地価公示による課税額が、2020年度を上回っている場合は、税額を2020年度と同額に据え置きとなる、という措置です。
反対に課税額が減った場合は、課税額はそのまま引き下げられます。

2.子育てや教育に関する税制改正

(1)ベビーシッターや認可外保育所の利用について

ベビーシッターや認可外保育所を利用すると、地方自治体から助成金が受け取れる場合があります、この助成金は、現状「雑所得」に分類され、税額が上がり、子育て世代の負担になっていることが考えられてきました。
今回の見直しによって、ベビーシッターや認可外保育所の利用料に関する助成金は非課税となることとなりました。

(2)産後ケア事業

昨今、母親の心身のケア・育児サポートなどの利用により、産後も安心して子育てが出来るための支援「産後ケア」事業が、だんだんと広まっています。今回の税制改正では、地方自治体が提供する母乳指導や精神的なケアといった産後ケア事業の利用料金に関しては、消費税を課税されないこととされました。

(3)教育資金贈与(結婚資金贈与)

祖父母などからの教育資金の援助に対して贈与税がかからないという特例措置について、適用条件を厳しくしたうえで、期限が2年間延長になりました。

また、同様に結婚や出産、育児にかかる資金を祖父母などから援助してもらう際、1000万円を上限として贈与税を非課税とする特例措置も、教育資金同様、条件を厳しくして、期間が2年間延長されています。

令和3年度税制改正

なんといっても、新型コロナに対する税制改正が大きなポイントとなる今年の税制改正。コロナが落ち着いた後、経済や社会の変革を促す目的が各所に見受けられます。

来る年が、幸多き1年でありますよう、お祈り申し上げます。

参考:与党発表 『令和3年度税制改正大綱