連結納税の見直し 経過措置により単体納税に戻ることが可能

2020.05.15

税務トピックス

法人税

令和2年度税制改正では、連結納税制度の内容が見直され、新たに「グループ通算制度」に移行することがわかりました。

グループ通算制度の適用が始まるのは、令和4年4月1日以降に開始する事業年度です。
現在、連結納税制を適用している法人は、自動的にグループ通算制度に移行することになります。

この改正には、グループ通算制度の移行のほかにもう1つ、注目されている改正があります。
それはグループ通算制度への移行の経過措置として、連結法人が単体納税法人に戻ることもできるというものです。

連結納税制度とは

連結納税制度とは、企業グループを一体として法人税の申告・納税を行う制度です。
親法人から100%の株式を直接的・間接的に保有されている子法人が、同じグループになります。

税計算の過程は複雑ではありますが、グループ内の損益通算ができたり、親法人の繰越欠損金を連結所得から控除できたりするメリットがあります。

なお、連結納税制度を適用するかどうかは選択制で、適用したい場合は、税務署への承認申請が必要になります。

なぜ連結法人→単体納税法人が注目される?

なぜ単体納税法人に戻れることが注目されるかというと、連結納税制度は、いったん承認を受けると、単体納税に戻ることが一筋縄ではいかないからです。

まず、単体納税法人に戻るためのルートは、大きく分けると

・承認の取り消しを受ける
・取りやめの承認を受ける

があります。

法人自ら連結納税をやめたいという場合は、後者の、取りやめの承認を受けることになります。
承認を受けるには、「連結納税の取りやめの承認の申請書」という書類を、連結親法人の納税地を経由して国税庁長官に提出し承認を受けます。

これの何が難しいのかというと、この申請を行うことができるのが「やむを得ない事情」があるときに限られるという条件付きだからです。

通達では、この「やむを得ない事情」について、「例えば、連結納税の適用を継続することにより事務負担が著しく過重になると認められる場合」と例示し、「単に税負担が軽減されることのみを理由として連結納税を適用しないこととする場合は、これに該当しない」としています。
(引用:連結納税基本通達1-3-6

やむを得ない事情が認められなければ、申請をしても取りやめの承認は受けられません。

参考までに、承認の取り消し(前者のルート)が行われるのは、連結事業年度に係る帳簿書類の備付け、記録又は保存が法令によって行われていないなど、連結事業年度の帳簿書類に関して何らかの問題がある場合となります。

このほか、次の例のように連結法人自体に一定の事由が生じた場合は、承認の取り消しがあったとみなされます。


・連結親法人と内国法人との間に当該内国法人による完全支配関係が生じた
・連結子法人との間に完全支配関係がなくなった
・連結親法人や連結子法人が解散した
など

単体納税法人に戻れる法人

それでは今回の税制改正を見ていきましょう。

今回、経過措置として認められるのは、法人の選択で単体納税に戻れるというルールです。

税制改正大綱によると、戻るには、連結親法人が、令和4年4月1日以後最初に開始する事業年度開始の日の前日までに税務署長に届出書を提出することが要件であると記載されています。

特に「やむを得ない事情」などの要件はなく、また「届出書」と明記されていることから、現行制度のように、申請による承認を必要とするようなルールは、今のところ想定されていないと推測されます。

大綱からわかるのはここまでですが、気になるのは、いつから単体納税法人になれるのかということです。

これについて週刊税務通信によると、単体納税に戻れるのは「グループ通算制度に移行する令和4年4月1日以後開始事業年度から」(引用:週刊税務通信 3590号 4頁)とされています。

単体納税に戻りたい法人にとっては、またとない機会となるでしょう。

なお、令和2年度税制改正では、グループ通算制度の移行にあわせて単体納税制度についてもいくつか見直しが行われます。

見直しの対象となっているのは、受取配当等の益金不算入制度、寄附金の損金不算入制度、貸倒引当金、資産の譲渡に係る特別控除ですので、気になる方はチェックしておきましょう。