【改正電帳法】データ形式を変更して保存することの可否

2022.11.25

税務トピックス

保存義務のあるデータ形式を変更することの可否

事業者が「電子取引」にあたる方法によって「取引情報」を授受した場合、所得税や法人税の書類保存の要件を満たすには、「取引情報」をデータで保存することが必要になりました。

保存対象はあくまで「取引情報に係る電磁的記録」であり、授受したデータそのものでなければならないことまでは求められていません。

取引情報を改変するおそれのない方法であれば、別のデータ形式に変更して保存することも認められます。

それでは、取引情報を改変するおそれのない方法とは何なのでしょうか。

「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」では、この方法について具体的な考え方を示しています。

(参考)国税庁:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/4-3.htm

Excel等をPDF化する方法

ExcelやWordなどで受領した電子データをPDFファイルに変換して保存することは、取引情報が変更されるおそれがないため問題ありません。

パスワードを解除して保存する方法

パスワードが付与されているExcel等について、そのパスワードの解除をしてから保存することも、取引情報が変更されるおそれがないため問題ありません。

 データベースで保存する方法

データベースに入力した内容から請求書等が作成されるシステムを利用している場合、請求書等の元となったデータベースによる保存でも、情報が変更されるおそれがなければ認められます。

ただし、税務調査の際には取引情報(取引に関して授受した注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項)をフォーマットに出力し、相手に提供した状態で確認できるようにするなど協力が求められます。

EDI取引におけるデータ保存について

・Excelで保存する方法

EDI取引における発注書や納品書といった電子データについても、取引で実際に授受した取引データそのものを保存するだけでなく、内容が変更されるおそれのない合理的な方法であれば別形式のデータに編集して保存することが認められます。

たとえば、EDIシステム上でXML形式のデータでやり取りをしている場合、そのXML形式のデータを一覧表としてExcel形式に変換して保存する方法などが認められます。

ただし、データを手動でExcelなどに転記して別形式のデータを作成することは、故意であるかどうかにかかわらず、取引内容が変更されるおそれがあるため認められません。

 ・EDI取引を自社のコードに変更して保存する方法

EDI取引において、相手から受け取ったデータの各種コードを自社のコードに自動変換して保存することも認められます。

たとえば「税込」という情報を、相手はコード「1」としたデータで送付し、それを自社の使用するデータに変換して保存する際に、自社で「税込」を意味する「2」に変換するような行為です。

このような変換がシステム上で自動的に行われるのであれば、授受したデータの内容は正確に表示できると考えられます。

ただし、コードの手動変更は認められません。

国税庁は、Q&Aにおいて①コード変換が自動的に行われること、②コードの変換テーブルを保存しておくこと、③税務調査の際は取引情報のコードが意味する内容を明確に説明できるようにしておくことの3つを求めています。