2022年度のIT導入補助金について

2022.03.11

税務トピックス

その他

IT導入補助金とは

IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者の生産性を向上させるITツール導入等のために支払った費用の一部を補助するものです。

正式な名称は「サービス等生産性向上IT導入支援事業」になります。

 

2022年度のIT導入補助金の方針

令和3年度補正予算の成立によって、IT導入補助金は2022年度も公募が行われる予定となっています。

具体的な公募日程は未定ですが、補助対象や補助率、限度額といった基本的な内容は、関係省庁の公開情報から少しずつ明らかになっています。

2022年度のIT導入補助金では、インボイス制度導入への対応も見据えつつ、企業間取引のデジタル化を強力に推進するとしています。

 

前年度からの5つの変更点

2022年度のIT導入補助金の公開内容によると、前年度からの主な変更点は、下記の5つです。

・補助対象のソフトウェアを「会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフト」に特化

・ITツールの導入費用に、クラウド利用料(最大2年分)を追加

・ITツールの補助率を「4分の3~3分の2」にアップ

・PC・タブレット、レジ・券売機等といったハードウェアの購入費を補助対象に追加

・地域のDXを推進する【複数社連携IT導入類型】を新設

 

2022年度のIT補助金の内容

2022年度のIT補助金は、【デジタル化基盤導入類型】・【複数社連携IT導入類型】の2類型に分かれる見通しです。

 

【デジタル化基盤導入類型】とは

【デジタル化基盤導入類型】は、おおむね2021年度のIT導入補助金の内容を拡充したものとなります。

補助対象・補助率・限度額は下記のとおりです。

補助対象 ITツールの導入費用(一定のソフトウェアの導入費用、クラウド利用料など) PC・タブレットの購入費 レジ・券売機等の購入費
補助率 4分の3 3分の2 2分の1 2分の1
補助上限額 ~50万円以下 50万円超~350万円 最大10万円 最大20万円

 

新設された【複数社連携IT導入類型】とは

【複数社連携IT導入類型】は、地域DXの実現などのために、複数の企業が連携してITツールやハードウェアを導入する取り組みを支援する新しい類型です。

参加事業者が10者以上となる下記の団体が、この類型の対象者となります。

・商工団体等

(例)商店街振興組合、商工会議所、商工会、事業協同組合 等

・当該地域のまちづくり、商業活性化、観光振興等の担い手として事業に取り組むことができる中小企業者又は団体

(例)まちづくり会社、観光地域づくり法人(DMO) 等

・複数の中小企業・小規模事業者により形成されるコンソーシアム

 

【複数社連携IT導入類型】では、たとえば商業地域において、来街者の消費動向を収集・分析するシステムなどを導入し、デジタルマーケティングを行うことによって、その地域全体の生産性向上につなげるような取り組みが想定されています。

2022年1月、中小企業庁の「令和3年度補正予算の概要」では、【複数社連携IT導入類型】の具体的な取り組みイメージとして、下記の図解が公開されています。

(出典)中小企業庁:「令和3年度補正予算の概要(令和4年1月)」より

https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/

 

【複数社連携IT導入類型】の補助対象・補助率・限度額

【複数社連携IT導入類型】の補助対象は、「基盤導入経費」、「消費動向等分析経費」、「事務費専門家費」の3つに分かれます。

補助対象 基盤導入経費(①) 消費動向等分析経費(②) 事務費、専門家費
補助率 デジタル化基盤導入類型に同じ(2分の1~4分の3) 3分の2 3分の2
補助上限額 ①と②を合わせて3,000万円まで (①+②)×10%

 

基盤導入経費とは

前項の【デジタル化基盤導入類型】と同じく、下記の導入費用を対象としています。

・ソフトウェア(会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフト)

・ハードウェア(PC・タブレット、レジ・券売機等)

 

消費動向等分析経費とは

下記の分析システム等に関する経費を対象としています。

・ITツール:消費動向分析システム、経営分析システム、需要予測システム、電子地域通貨システム、キャッシュレスシステム、生体認証決済システム等

・ハードウェア:AIカメラ、ビーコン、デジタルサイネージ等

 

事務費・専門家費

参画事業者のとりまとめに係る事務費・専門家費も補助対象としています。

【複数社連携IT導入類型】は、団体でなければ申請できませんので、各企業の意見や予算などを取りまとめるコーディネーターのような役割が必要になるためと考えられます。

 

(※)主に中小企業庁:「令和3年度補正予算の概要(令和4年1月)」に基づいて執筆しています。変更となる可能性がありますので、交付申請時は必ず公募要項もご確認ください。