譲渡所得の対象や計算方法を解説

2019.10.25

税務トピックス

所得税

譲渡所得の対象になるもの

譲渡所得とは、個人の所有する一定の資産を譲渡した場合、その譲渡者に発生する所得税の課税区分です。
対象となる資産は、土地、借地権、建物、株式等、 金地金、宝石、書画、骨とう、船舶、機械器具、漁業権、取引慣行のある借家権、ゴルフ会員権、特許権、著作権、鉱業権、土石(砂)などがあります。

総合課税と分離課税

譲渡所得には、その課税方法の違いによって、総合課税と分離課税の2区分があります。
分離課税 不動産、株式等
総合課税 その他の資産

分離課税とは、他の所得と合算せず、それぞれの区分で課税する方法です。
適用される税率は、譲渡資産によって異なります。
総合課税とは、他の所得区分と合わせて算定された課税所得に、5%~45%の超過累進税率をかけて課税する方法です。事業所得や給与所得、一時所得など、他の総合課税に区分される所得と合算し、所得控除を差し引いた残額に税率をかけて計算します。

短期譲渡所得と長期譲渡所得

不動産やその他の資産(株式等や先物取引を除く)は、それぞれの所有期間を基準に、長期譲渡所得と短期譲渡所得に分かれます。

分離課税 短期譲渡所得 不動産(譲渡があった年の1月1日において所有期間が5年以内)
長期譲渡所得 不動産(譲渡があった年の1月1日において所有期間が5年を超)
- 株式等(短期・長期の区分なし)
総合課税 短期譲渡所得 その他の資産(所有期間5年以下)
長期譲渡所得 その他の資産(所有期間5年超)

いずれも5年の所有期間を境としますが、分離課税では譲渡した年の「1月1日」を基準に所有期間を判定することに対して、総合課税では「取得した日」を基準に所有期間を判定します。

譲渡所得の計算方法

それぞれの計算方法は次のとおりです。

【譲渡所得の計算方法】
分離課税 短期譲渡所得 収入金額-(取得費+譲渡費用)
長期譲渡所得 収入金額-(取得費+譲渡費用)
株式等 収入金額-(取得費+譲渡費用)
総合課税 短期譲渡所得 収入金額-(取得費+譲渡費用)-50万円
長期譲渡所得 収入金額-(取得費+譲渡費用)-50万円(短期の残額)

総合課税には、特別控除額50万円があり、短期譲渡所得から優先的に控除します。
なお総合課税の長期譲渡所得で、総所得金額に算入される(課税の対象になる)のは2分の1です。

収入金額とは

売却額のことです。
なお、低額譲渡など、みなし譲渡課税の対象となる場合は、一定のルールで算定された額が収入金額に計上されます。

取得費とは

譲渡資産の購入代金や、購入に関する諸費用(購入手数料、設備費、改良費等)です。
なお、減価する資産(建物、機械、車両など)の場合、取得日から譲渡日までの減価償却費に相当する額を計上することができます。
また「概算取得費」といって、「収入金額×5%」を取得費とすることもできます。
取得費がわからないときのほか、概算取得費の方が有利なときにも選択できます。

譲渡費用とは

譲渡費用とは、売却のために直接かかった費用です。
次のような費用が該当します。
・土地や建物を売るために支払った仲介手数料
・印紙税で売主が負担したもの
・貸家を売るため、借家人に家屋を明け渡してもらうときに支払う立退料
・土地などを売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用とその建物の損失額
・既に売買契約を締結している資産を更に有利な条件で売るために支払った違約金
・借地権を売るときに地主の承諾をもらうために支払った名義書換料
など

譲渡所得の損益通算

譲渡所得(株式等を除く)の計算結果がマイナスになった場合は、分離課税内(短期と長期)、総合課税内(短期と長期)で損益通算をすることができます。
総合課税内で損益通算した結果がマイナスの場合、次は一時所得→経常所得の順に損益通算します。
分離課税と総合課税を通算することはできません。
なお、株式等にかかる譲渡所得の損益通算には、別途ルールがあります。

譲渡所得の税率

譲渡所得に適用される所得税率は、次のとおりです。
( )内は住民税率になります。

【譲渡所得の税率】
分離課税 短期譲渡所得 30%(9%)
長期譲渡所得 15%(5%)
株式等 15%(5%)
総合課税 短期譲渡所得 5%~45%15%(10%)
長期譲渡所得

譲渡所得の対象外となる資産

譲渡所得に該当しないものとして誤りやすい資産は、次のとおりです。
・事業所得者が行うたな卸資産の譲渡・・・事業所得
・不動産所得者が行うたな卸資産に準ずる資産の譲渡・・・雑所得
・生活用動産(※)の譲渡・・・非課税
(※)生活要動産とは、家具、衣服、じゅう器、通勤用の自動車、30万円以下の宝石や貴金属など