地方税関係の改正のポイント

2020.02.14

税務トピックス

その他

令和元年度もさまざまな税制が改正されました。
今回は、令和元年度税制改正のうち、地方税の改正について主なものをご紹介します。

事業税などに関する改正

 特別法人事業税の創設

地域間の財政力格差を是正するために、特別法人事業税が創設されました。
特別法人事業税は、消費税が10%になった際に、かつての地方法人特別税が廃止されて法人事業税に復元したことを踏まえて検討されたものとなります。
(参考:総務省「新たな偏在是正措置に係る対象税目について」

また、法人事業税の一部を分離しての創設となるため、法人事業税の引き下げが同時に行われます。
適用は、令和元年10月1日以後に開始する事業年度からで、税額は、法人事業税の所得割・収入割のおよそ税額は、法人事業税の所得割・収入割のおよそ3割です。

(参考①:総務省「特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案の概要」
/参考②:東京都主税局「特別法人事業税の創設について」

電気事業者の収入割の特例措置の創設

電気事業法の改正によって、送電事業と発電事業等の分社化が行われたことによって、それまで内部取引だった取引が外部取引となり、形式上、新たな収入が生じるようになりました。
この新たに生じた収入については、令和元年度税制改正による特例措置によって、5年に限って収入金額から控除することとなります。
適用は、令和元年4月以降に開始する事業年度からです。

電子申告義務のある法人の災害時等の措置

令和2年4月以後開始する事業年度から、主に次の法人の税務申告については、電子申告が義務化されます。

【電子申告の対象となる主な法人】
・事業年度開始の時において資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人
・相互会社、投資法人及び特定目的会社
(参考:国税庁 よくある質問「電子申告の義務化の対象法人を教えてください。」

この電子申告の義務化に伴って、もし電気通信回線の故障や災害、その他の理由によってe-TAXを使うことが困難な場合があれば、書面申告ができるという措置が講じられました。

個人住民税に関する改正

住宅ローン控除の3年延長を受けて

住宅ローン控除を受ける人のうち、所得税から控除しきれない税額がある場合は、その人の個人住民税から所定の額が控除される仕組みです。
この住宅ローン控除について、令和元年度税制改正では、所得税から控除される期間が、従来の10年から3年間延長されました。

詳しい内容は、こちらの記事もご覧ください。

「住宅ローン控除が3年延長に!住宅ローン控除の特例」

この改正を受けて、個人住民税についても、延長された3年間(11年目から13年目)に控除しきれない税額が発生すれば、1年目から10年目と同じように個人住民税から控除するよう改正されました。

ふるさと納税制度の見直し

ふるさと納税制度は、寄附金控除に「特例控除」があることが特長ですが、令和元年6月1日から、特例控除の対象になる地方団体について、政府が指定することとなりました。

特例控除の対象になる地方団体の基準は、次のとおりです。
1:寄附金の募集を適正に実施する地方団体
2:1の地方団体で、返礼品を送付する場合には、以下の2つをいずれも満たす地方団体
・返礼品の返礼割合を 3 割以下とすること
・返礼品を地場産品とすること

令和元年6月1日以降、指定が受けられなかった団体にふるさと納税をしても、特例控除の対象になりません。(ただし、一般控除は受けられます)

単身児童扶養者の非課税措置

子どもの貧困に対応するためとして、令和元年度税制改正では、児童扶養手当の支給を受け、かつ、前年の合計所得金額が135万円以下であるひとり親に対し、個人住民税を非課税とする措置を講じることとしました。
適用は、令和3年度分の個人住民税(令和2年分の所得に基づく個人住民税)からとなります。