免税店制度の概要と2019年の改正ポイント

2019.12.13

法改正情報

インバウンド消費の高まりとともに、国内の免税店の数は増加しています。
ところが、免税店を取り巻く制度はなかなか複雑です。
今回は、消費税免税店の概要と、2019年の改正について解説します。

 

高まるインバウンド消費と増える免税店

 

観光地に行くと、外国人の多さに驚いた経験はないでしょうか。

訪日外国人の増加によって、注目されているのがインバウンド消費です。

観光庁が2019年7月に公開した、訪日外国人消費動向調査(2019年4-6月期)速報によると、外国人旅行客による消費額はおよそ1兆2,810億円。

これは、前年同期比の13%増となり、過去最高額を更新しました。

消費内容では、買い物代が36.6%(約4,689億円)で最多となります。

観光庁:訪日外国人消費動向調査(プレスリリース)
https://www.mlit.go.jp/common/001299606.pdf

 

これに伴い、日本国内の消費税免税店の数も急増しています。

同庁によれば、2019年4月1日時点の免税店の数は、全国で50,198店にのぼり、前年から12.4%もの増加となっていることがわかります。

 

観光庁HP:都道府県別消費税免税店数
https://www.mlit.go.jp/kankocho/page02_000116.html

 

 

消費税免税制度の概要

 

外国人旅行客など「非居住者」(消費税法上に決まりがあります)が、一般消費の目的(事業用・販売目的などは対象外)で日本において購入する物品については、日本の消費税は免除となります。

ただし、税務署長から「輸出物品販売場」の許可を受けた店舗でなければ免税販売はできません。また、販売する時にも一定の手続きが必要です。

 

免税対象となる商品とは

 

免税販売できる商品は、「一般物品」と「消耗品」です。

「消耗品」とは、食品類、飲料類、薬品類、化粧品類、その他の消耗品で、「一般物品」とはそれ以外の商品になります。

「一般物品」と「消耗品」はそれぞれ、1日の販売価額の合計額が5,000円以上(消耗品の上限は50万円以下)であることが要件です。

ただし5,000円未満でも、一般物品と消耗品の販売価額合計が5,000円以上であれば、一般物品を消耗品と同様の指定された方法により包装(消費されないように行う包装)することで、免税販売することができます。

 

免税店制度の種類

 

免税店は、法律上、「輸出物品販売場」といいます。

「輸出物品販売場」には、「誰が免税手続きを行うか」の違いで

・一般型輸出物品販売場

・手続委託型輸出物品販売場

上記の2つがあり、それぞれに許可が必要です。

許可申請先は、納税地を管轄する税務署長になります。

 

・一般型輸出物品販売場
「一般型」と呼ばれる免税店です。
店舗を経営する事業者が、店舗において「自身で免税手続きを行う」形態であれば、一般型の許可が必要となります。

 

・手続委託型輸出物品販売場
「手続委託型」と呼ばれる免税店です。
店舗を経営する事業者が、「他者に免税手続きを委託する」形態であれば、手続委託型の許可が必要になります。
たとえば、テナントビル内の店舗が、ビル内の免税カウンターに免税手続きを委託する場合です。
店舗では税込み価格で販売し、免税カウンターが消費税相当額の返還など免税に必要な手続きを行うしくみとなります。
なお、免税カウンターで免税手続きを行う側は「承認免税手続事業者」として納税地の税務署長からの事前承認を受ける必要があります。

 

 

2019年の改正ポイント

 

臨時販売場制度の創設

2019年7月から、「臨時販売場制度」が創設されました。

「臨時販売場制度」とは、販売期間が7ヶ月以内の、期間限定の免税店を開設する手続きです。

従前の「事前承認港湾施設内に設置する臨時販売場制度」に代わるもので、この制度は、2019年6月30日で廃止となりました。

「臨時販売場制度」を利用できるのは、あらかじめ、輸出物品販売場の許可(一般型・手続委託型)を受けている事業者となります。

これらの事業者が臨時販売場で免税販売を行うには、まずは税務署長の承認を受け、さらに臨時販売場を設置する日の前日までに「臨時販売場設置届出書」を提出する必要があります。

臨時販売場は、元の許可が一般型・手続委託型のどちらであってもかまいません。

ただし、手続委託型で許可された店舗のみ経営している事業者の場合は、一般型の必要書類に加えて、自ら免税販売手続きを行う体制が整備されていることを証する書類が必要になります。

手続委託型の許可申請添付書類の見直し

手続委託型は、免税手続きを委託する相手が「承認免税手続事業者」でなければなりません。

そのため、これまでは手続委託型の許可申請において、委託先が「承認免税手続事業者」の「承認免税手続事業者の承認通知書の写し」の添付が必要でしたが、2019年4月1日以後、この書類は不要になりました。